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1a、意識水準
気管内挿管、言語的障壁、あるいは口腔の外傷などによって評価が妨げられたとしても、患者の反応をどれか一つに評価選択すること。痛み刺激を加えられた際に患者が反射的姿勢以外には全く運動を呈さないときのみ3点とする。
※1aのみあとで振り返ってもう一回評価してよい
0、完全に覚醒している、的確に反応する。
1、覚醒していないが簡単な刺激で覚醒し、命令に従ったり、答えたり、反応することができる。
2、覚醒していなくて、注意を向けさせるには繰り返し刺激する必要があるか、あるいは意識が混濁していて(常同的ではない)運動を生じさせるには強い刺激や痛みが必要である。
3、反射的運動や自立的反応だけしかみられないか、あるいは完全に無反応、弛緩状態、無反射状態である。
1b、意識障害ー質問
今月の月名および年齢を尋ねる。返答は正解でなければならず、近似した答えには点を与えない。失語症または昏迷の患者には2点を与える。気管内挿管、口腔外傷、強度の構音障害、言語的障壁あるいは失語症によらない何らかの問題のために患者が話すことができない場合には1点とする。最初の応答のみを評価することが重要であり、検者は言語的あるいは非言語的な手がかりで患者を助けてはならない。
0、両方の質問に正解
1、一方の質問に正解
2、両方とも不正解
※運動失語の人でもジェスチャーが正確であれば点数を与える。
1c. 意識障害ー従命
「目の開閉」を命じ、続いて「手を握る・開く」を命じる。
もし手が使えないときは他の1段階命令に置き換えてもよい。実行しようとする明らかな企図がみられるが、筋力低下のために完遂できないときは点を与える。もし患者が命令に反応しないときはパントマイムで示してみせる。外傷、切断または他の身体的障害のある患者には適当な1段階命令に置き換える。最初の企図のみを評価すること。
※手を使えない場合は、他の指示でもOK 指示に従えない場合には身振りなどで反応を促して評価
0、 両方とも遂行可
1、一方だけ遂行可
2、両方とも遂行不可
2.最良の注視
水平眼球運動のみ評価する。随意的あるいは反射的(oculocephalic)眼球運動を評価するがcaloric test は行わない。共同偏視を有しているが、随意的あるいは反射的にこれを克服できるときは1点とする。単一の末梢性脳神経(III、IV、VI)麻痺があるときは1点とする。注視は全ての失語症患者で評価可能なはずである。眼外傷、眼帯、病前からの盲、あるいは他の視野視力障害を有する患者は反射的運動あるいは適切な方法で評価する。視線を合わせ、患者の周りを横に動くことで注視麻痺の存在を検知できることがよくある。
※要するにoculocephalic reflexでも克服できない注視麻痺のものだけが2点 意識が悪い人でも視線を合わせて動けば評価できる。
0:正常
1:部分的注視麻痺。注視が一側あるいは両側の眼球であるが、固定した偏視や完全注視麻痺でないとき。
2:「人形の目」手技で克服できない固定した偏視あるいは完全注視麻痺。
3.視野
視野(上下1/4)を対座法で動かしている指あるいはthreat で検査する。
患者を励ましてもよいが、動いている指の方を適切に向くのなら正常とする。一側眼の盲や単眼の場合は健常側の視野を検査する。1/4盲を含む明らかな左右差が認められたときのみ1点とする。もし全盲であればどのような理由であっても3点とする。この時点で両側同時刺激を行い消去現象があれば1点とし、その結果は項目11の評点に用いる。
※原則として単眼ずつ行うようにする。
0 : 視野欠損なし
1 : 部分的半盲
2 : 完全半盲
3 : 両側性半盲(皮質盲を含む全盲)
4.顔面麻痺
歯をみせるか笑ってみせる、あるいは目を閉じるように命じるかパントマイムで示す。反応の悪い患者や理解力のない患者では痛み刺激に対する渋面の左右差でみる。顔面外傷、気管内挿管、包帯、あるいは他の身体的障壁のため顔面が隠れているときは、できるだけこれらを取り去って検査する。
※1aが3のときは、自動的に末梢性顔面神経麻痺である3点をつけるが、痛み刺激などで反応の左右差をみることがポイント
Point
完全麻痺とは末梢性顔面神経麻痺のことで3点となる。意識がよくて前頭筋が保たれているが、非常に程度の強い中枢性顔面神経麻痺は最高で2点となる。
0: 正常な対称的な動き
1: 軽度の麻痺(鼻唇溝の平坦化、笑顔の不対称)
2: 中枢性顔面神経麻痺がはっきりしているもの(顔面下半分の完全あるいはほぼ完全な麻痺)
3: 末梢性顔面神経麻痺もしくは意識がIaで3のとき(顔面上半および下半の動きが全くない)
5. 上肢の運動
上肢は90度(坐位のとき)または45度(仰臥位のとき)、上肢は10秒間維持できないときに下垂と評価する。失語症患者には声やパントマイムで示すが、痛み刺激は用いない。各肢は順に検査するが最初は非麻痺側から検査する。切断肢や肩あるいは股関節の癒合のときのみN点とし、検者はN点とつけた理由を明確に記録しておく。
※痛み刺激に反応しない1aが3の場合自動的に両側とも4となる
指折りで秒数を数える。片方ずつ、健側から開始。
0 : 下垂なし。90(または45)度を10秒間保持できる。
1 : 下垂する。90(または45)度を保持できるが、10秒以内に下垂してくる。しかしベッドを打つようには落ちない。
2 : 重力に抗しての動きがみられるが、90(または45)度の挙上または保持ができない。
3 : 重力に抗して動きがみられない。ベッド上に落ちる。
4 : 全く動きがみられない。
N : 切断、関節癒合
6. 下肢の運動
下肢は30度(必ず仰臥位)。下肢は5秒間維持できないときに下垂と評価する。失語症患者には声やパントマイムで示すが、痛み刺激は用いない。各肢は順に検査するが最初は非麻痺側から検査する。切断肢や肩あるいは股関節の癒合のときのみN点とし、検者はN点とつけた理由を明確に記録しておく指折りで秒数を数える。片方ずつ、健側から開始。
※痛刺激に反応しない1aが3の場合自動的に両側とも4となる
0 : 下垂なし。30度を5秒間保持できる。
1 : 下垂する。30度を保持できるが、5秒以内に下垂してくる。しかしベッドを打つようには落ちない。
2 : 重力に抗して動きがみられる。下肢は落下するが、重力に抗する動きが認められる。
3 : 重力に抗しての動きがみられない。即座にベッド上に落ちる。
4: 全く動きが見られない。
N : 切断、関節癒合
7.運動失調
指ー鼻ー指試験と踵ー脛試験
この項目は一側性の小脳損傷に関する症候を評価するものである。検査は開眼で行う。視野障害がある場合は健常側で検査を行う。指ー鼻ー指試験と踵ー脛試験は両側で行い、運動失調は、筋力低下の影響を割り引いても存在するときのみ有りと評価する。理解力のない患者、片麻痺の患者では失調は無いと評価する。切断肢や関節癒合のときのみN点とし、検者はN点とつけた理由を明確に記録しておく。全盲の場合は伸展位から鼻に触れることで検査する。
※ 痙性や錐体路障害(麻痺)のためpoorであればこの項目は異常とはとらない。したがって、1a-3のときは、0となる。
0: なし
1: 1肢に存在
2: 2肢に存在
N: 切断、関節癒合
8. 感覚 爪楊枝を使用
知覚または検査時のpinprickに対する渋面、あるいは意識障害や失語症患者での痛み刺激からの逃避反応により検査する。脳血管障害に帰せられる感覚障害のみを異常と評価し、半側感覚障害を正確に調べるのに必要なできるだけ多くの身体部位(手ではなく前腕、下肢、体幹、顔面)を検査すること。重篤あるいは完全な感覚障害が明白に示された時のみに2点を与える。従って昏迷あるいは失語症患者は恐らく1または0点となる。脳幹部血管障害で両側の感覚障害があるときは2点とする。無反応あるいは四肢麻痺の患者は2点とする。昏睡患者(項目1a=3)は2点とする。
0 : 正常。感覚障害なし
1 : 軽度から中等度の感覚障害。Pinprickをあまり鋭くなく感じるか障害側で鈍く感じる。あるいはpicprickに対する表在感覚は障害されているが触られているということは分かる場合。
2 : 重度から完全感覚脱失。触られているということも分からない。
9. 最良の言語
これより前の項目の検査を行っている間に言語理解に関する多くの情報が得られている。絵カードの中で起こっていることを尋ね、呼称カードの中の物の名前を言わせ、文章カードを読ませる。言語理解はここでの反応および前の神経学的検査の際の命令に対する反応から判断する。もし視覚障害によってこの検査ができないときは、手の中に置かれた物品の同定、復唱、発話を命ずる。挿管されている患者は書字するようにする。昏睡や非協力的患者でも評点をつけなければならないが、患者が完全に無言か、1段階命令に全く応じない場合にのみ3点を与えることとする。
0 : 失語なし。正常
1 : 軽度から中等度の失語。明らかな流暢性・理解力の障害があるが、表出された思考、表出の形に重大な制限を受けていない。しかし、発話や理解の障害のために与えられた材料に関する会話が困難である。患者の反応から検者は答えを同定することができる。
2 : 重度の失語。コミュニケーションは全て断片的な表出からなっていて、聞き手に多くの決めつけ、聞きなおし、推測がいる。交換される情報の範囲は限定的で、聞き手はコミュニケーションの困難性を感じる。検者は患者の反応から答えを同定することができない。
3 : 無言、全失語。有効な発話や聴覚理解は全く認められない。


分かっています
地面に落ちる
仕事から家に帰った
食堂のテーブルのそば
昨夜ラジオで話して
いるのを聴きました
10. 構音障害
もし患者が失語症でなかったら、前出のカードの音読や単語の復唱をさせることから適切な発話の例を得なければならない。もし患者が失語症なら、自発語の構音の明瞭さを評価する。挿管、発話を妨げる他の身体的障壁があるときのみN点とし、検者はN点とつけた理由を明確に記録しておく。患者にこの項目の検査理由を告げてはならない。
※基本的には、患者さんには言語の明瞭さを調べる目的については言わずに指示する。聞き取れ理解が可能なものは1点で、理解不可能の場合は2点である。
0 : 正常
1 : 軽度から中等度。少なくともいくつかの単語で構音が異常で、悪くとも何らかの困難は伴うものの理解し得る。
2 : 重度。構音異常が強いため、検者が理解不能である。
N : 挿管または身体的障壁
ママ
はとぽっぽ
バイバイ
とうきょう
かたつむり
バスケットボール
11. 消去現象と注意障害(無視)
これより前の項目の検査を行っている間に無視を評価するための充分な情報を得られている。2点同時刺激を行うことを妨げるような重篤な視覚異常がある場合、体性感覚による2点同時刺激で正常なら評価は正常とする。失語あっても両側に注意を向けているようにみえる時、評価は正常とする。視空間無視や病態失認の存在は無視の証拠としてよい。無視は存在した時のみ有りと評価されるので、この項目には検査不能はありえない。
0 : 異常なし
1 : 視覚、触覚、聴覚、視空間、あるいは自己身体に対する不注意、あるいは1つの感覚様式で2点同時刺激に対する消去現象。
2 : 重度の半側不注意あるいは2つ以上の感覚様式に対する半側不注意。一方の手を認識しない。または空間の一側にしか注意を向けない。
記入上の注意点
- リストの順に施行すること。
- 各検査項目施行直後にその結果を記録する。
- 逆に行ったり評点を変更してはならない(例外Ia)。
- 各検査の行い方についての指示に従う。
- 評点は患者がなしたことを反映するのであって、患者ができるだろうと医師が推測したことを反映するのではない。
- 検査を施行している間に記録すること。
- 特に指示されている部分以外では、患者を誘導してはならない(すなわち、何度も命令を繰り返すと患者は特別に努力をしてしまう)。
- いずれかの項目が実施されなかった場合は、その理由を明白に説明しておく。
なぜスケールをとる必要があるのか? メリットは?
1、客観的なメルクマールが必要(Aさんの重度の麻痺とBさんの重度の麻痺は本当に一緒?)←薬剤や治療成績を判断する必要
2、患者さんの臨床経過をだれがみても具体的に再現することが可能
3、世界標準的治療の実践(EBM医療)
4、スタッフの教育(観察事項のエッセンスが含まれており、見落としが少なくなる)
5、治療成績を他病院と比較して医療の質を高めることが可能(このために広く使用されているスケールが必要)
NIHSSの長所
1、世界中で使用されている
2、t−PA投与の必須観察事項
3、トレーニングの標準化が英語圏ではなされている
4、すでに16年以上の臨床での使用データがあり有効性や問題点など検証が充分行われている。
5、11観察事項、15項目で一通りの神経学的観察が可能
6、ベッドサイドで簡単に点数算出可能
NIHSSの短所
1、椎骨脳底動脈系の神経症状評価が不充分
2、右大脳半球と左大脳半球で同程度の損傷範囲でも点数が大きく異なる
3、神経所見の重み付けがなく、総合点だけで比較すると同じ点数でもADLという点からみると全く異なる病態である。
4、日本では、正しい評価がされているとはいい難い
5、軽微な麻痺などが無視されており、神経所見を見落とす可能性⇒バレー徴候やMingazzini試験などの併用の必要
リンク
米国のNIHSSトレーニング認定書取得(NIHSSのweb上トレーニング)
http://www.asatrainingcampus.net

『脳卒中ネットワーク』が独自に作成したNIHSSトレーニングの練習問題です。NIHSS習得にお役立て下さい。
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